場面緘黙と、これから

場面緘黙症だった頃の記録を綴っています。

病院②

最初は不安で退屈で仕方のなかった入院生活にも次第に慣れていきました。
入院中は本をたくさん読みました。

当時はまっていた作家はシドニィ・シェルダンやダニエル・スティール、アガサ・クリスティーといったミステリー作家。
シドニィ・シェルダンやダニエル・スティールの本に出てくるヒロインは何故か決まって才色兼備。
漫画や本のキャラクターから影響を受けやすい私は、そんな才色兼備のヒロインに憧れ勉強のモチベーションを高めていました。

入院中に一度だけ精神科医に見てもらったことがありました。
その時に場面緘黙と診断されたのですが、親からそのことを伝えられたのは退院後でした。
だけど、入院中に緘黙について取り上げられている地方紙を見せられたことはあります。
緘黙と書かれてはいなかったけれど、家では話せるのに学校では話せない子について書かれている記事でした。
担当医がその記事を私と母に見せてくれて、「話せなくなっちゃうのはあなただけじゃないのよ」「大人になれば自然に治るから」と言ってくれました。

「大人になれば自然に治る」という認識は正しくはありません。
でも、当時の私はその言葉に励まされました。
「ずっとこのままじゃない。いつか変われるだろう。話せるようになるだろう。」と考えていました。

当時は摂食障害の治療に重点を置いていたのと、医師の言葉もあり、緘黙についてはそれほど深刻に考えていませんでした。